山麓の新しい暮らし

清澄白河のご近所さんたちに支えられて、いろは(娘)とのふたり暮らしが落ち着いたころ、ご縁があって昔からの友人、ゆう君(佐藤豊さん)と結婚しました。そして新しい家族も増えてにぎやかな4人家族に。

ある日、山登りが好きな夫から「長野に移住したい」と持ちかけられ、「あっ、いいね」って。とんとんと話が進んで昨年の12月、八ヶ岳山麓に移住しました。今の時代、仕事はどこでもできるし、そのときやりたいと思った気持ちに忠実に動けばいいかなと。白樺やブナに囲まれたこの場所に初めて来たとき、いろはが木の枝を拾って林の中へバーッと走っていった。その姿を、まだ小さなれい(息子)を抱っこして眺めていました。なんだかそれだけで素敵な場所だと、ここがいいと感じたのです。

階段を上がって玄関を開けると、すぐ目の前に手作りの薪ストーブがあります。このストーブは家を建てるときから、絶対に家の真ん中に置きたいと思っていました。作り手はイエルカ・ワインさん。伊那谷の中川村で築100年以上の古民家に住んでいて、ものを通して生き方を教えてくれる素敵な人です。奥さまの悦子さんとともに、無農薬の野菜を育て、薪ストーブで料理をし、自ら土をこねて焼いた食器に盛り付けている。ご夫妻が大切にしている、自分たちの手で作る暮らしはとても温かくて美しいのです。このストーブでクッキーを焼いたり、ことこと煮込み料理をしたり。子どもたちが眠ったら夫とふたり、小さく燃える火を見ながらお酒を飲んで、家のことや将来のことを話したりしています。イエルカさんの薪ストーブは、この家のお守りみたい。

毎朝、目が覚めたら飼っているニワトリの世話をして、猫のゆきにごはんをあげて、みんなの朝ごはん前に絵を描いたりしています。私のアトリエは天井が吹き抜けになっていて、上には夫の仕事部屋。ロフトみたいに「おーい」って、お互いに声をかけられるのがうれしい。ストーブにはお鍋をかけて、洗濯機をまわしながらちょっとメールをしたり、家族の時間と仕事場と、ぎゅっと近づいているのがすごい幸せです。

東京だと大人も子どもも忙しくて、休みの日には疲れていても、子どもを連れて遊園地とか水族館に行かなくちゃ…みたいなことがあるでしょ。ここに来て小川でホタルを見たとき、みんなで感動しました。生活の中で、同じことを一緒に感動できるのがいいなあと思う。ただ雪の斜面を滑るだけで大人も子どもも最高に楽しい、みんなで遊ぶ時間は宝物みたいです。

12月には新しいいのちが生まれてくるので、家族の時間をもっともっと大切にしたいな。私は海辺で育ったから山の暮らしは初めてだけど、自然の中に帰ってきた気がする。森の中を散歩して、帰るおうちがあって、みんなでごはんが食べられる、そんな毎日が愛しいです。