傘と絵本と私

作家としては、描くということで、もっともっと自分の境界線を越えていきたい。自分が今まで描いたことのない、見たこともない景色が描けたらいいなあと思います。ずっと感動する気持ちを持ち続けたいというのもあって、怖いけど新しい表現に挑戦して、壊して、またどんどん自分自身で新しい自分を発見していきたい。どうなるかはわからないけれど、いつも挑戦していきたいと思っています。新しい森の暮らしは毎日が発見の連続なので、ちょっと疲れたなと思っても外を眺めるだけで、受け止めてくれる自然がある。その大きな自然や人の広がりが私の力になっている気がします。

傘作りは、骨を作る人、つゆさき(骨の先部分)を作る人、ハンドル屋さん、裁断、張り加工屋さん…と、それぞれ職人さんがいてすべて分業になっています。私にとって職人さんの工房を訪ねるのはなによりの楽しみで、もの作りや人生の勉強の時間だと思う。あんなものやこんなものを作りたいと、私がへたな図面を差し出すと、「うーん、難しいなあ」と首をひねりながら、なんとか私の望みを叶えようと現実的にできることを一緒に探ってくれるのです。人生の先輩である彼らがいるから、傘作りができると心から思います。この数年で、何人もの職人さんが看板を下げていて、これから先、国産でどうやって傘を作り続けていくか課題もいっぱい。でも、職人さんたちと手を携えて、「Coci la elle」を1日1日続けていけたらいいなと願っています。

もうひとつの夢は、絵本。昔から絵本を描きたいと思っていて、少しずつ始めたところなんです。まだ人に見せられる段階じゃないけど、それでもやりたい。傘作りもそうですけど、自分の作ったものは自分そのもの、心の中を見られているようで恥ずかしいという気持ちがどうしてもありました。でもその枠が、ここ山の麓に来て外れるような感じがしています。なんていうのかな、自然の中で自分がちっぽけに見えるっていうのが、すごくいいと思うようになりました。だからそのちっぽけな自分で、臆せず挑戦したいと素直に思っています。