お茶との出合い

「chanowa」を始めて、もう14年になります。ただただおいしいお茶を淹れたい、誰かとそのおいしさと時間を分かち合いたいという一心で続けてきたように思います。なぜ、こんなにお茶に惹かれたのか……考えると、不思議ですね。

私は鹿児島の生まれで、小さな頃から霧島の深蒸し茶を飲んで育ちました。甘くて、とろりとしたお茶が当たり前で、それがおいしいと思っていた。ところが熊本に来て初めて「釜炒り茶」を飲んだとき、香りが高く、さっぱりしていて、同じ緑茶なのにまったく違うお茶があることに驚いたんです。その後、「玉蘭(ぎょくらん)」という中国茶を扱うお店で働くことになり、「釜炒り茶」は中国からきた製法がそのまま残っているものだと聞いて、もっと深く知りたくなったのです。それからですね、九州のお茶農家さんをいくつも巡り、茶摘みを体験し、作り方も見せていただくようになったのは。

中国へも、毎年のように訪れています。11月には、広東省の潮州に行ってきました。「工夫茶」のふるさと。街角でも、どこのお家でも、鳳凰單欉(ほうおうたんそう)という烏龍茶のすばらしい香りが漂っています。花のような香り、蜂蜜のような香り、また果物のような香りと多彩な味に、私は恋をしてしまったかのようでした。熊本でもこの体験を分かち合いたい――そんな思いから、今回もスーツケースを茶葉でいっぱいにして帰ってきました。

烏龍茶のふるさと「烏崠山」(ウートンサン)から眺める広東省東部の潮州市

樹齢数百年のチャノキから摘んだ茶葉。たくさんのミネラルを含む烏龍茶の祖

「香りを飲む」。私はよくそういう言い方をするのですが、お茶は、まず茶葉そのものの香りを楽しむ。お湯が注がれ、茶杯(ちゃはい)から立ち上る香り。口に含んだときの香りと、飲んで、のどを通ったあとにまた戻ってくる香りもあります。注(さ)したあとの茶殻のほのかな香りさえ、私にはいとおしく、味わい深いものに感じます。学べば学ぶほど、お茶を知れば知るほど、深く、果てしない。でも同時に、今も新しいお茶と出合い続けているような気持ちでいます。