茶会の楽しみ

茶器をまるまる一式包んで、私はどこまでも行きます。三種お茶を淹れる時はそれぞれの茶器を用意し、しつらえを変えます。面白いのは、訪れる場所によって茶会も変わるということ。ギャラリーで作家さんの茶器を使う場合は、どうしたら作品が美しく見えるかを考えます。朝の茶会から夕方の茶会まで1日かけて催す時は、ゆったりと。屋外のマーケットでは、ティースタンドとして気軽にお茶を味わっていただけるように。自分のコンセプトをいつも同じように押し出すのではなくて、しつらえや道具選びを自在に変化させるほうが自分らしくいられます。

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    3人のお客さまと主人と、4つの茶杯を並べました。出野さんの手元に視線が集まる瞬間。さあ、茶会の始まりです。

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    今日のお茶は、宮崎茶房の釜炒り茶。翡翠色した茶入れは、友人の細川亜衣さんから譲り受けたもの。茶則(ちゃそく)に回し入れます。

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    茶則を回して、茶葉の香りを味わってから、茶壺(ちゃふう)にお茶を移します。茶さじ代わりにした小枝。道具も自在に決めます。

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    少しずつ湯を注ぎ入れます。張り詰めた中にもやさしい時間が流れ、こぽこぽ……という心地よい音が部屋中に響き渡ります。

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    すっと差し出された茶杯に、ふーっと深呼吸したくなります。心落ち着けて、香りをゆっくり楽しみながらのひと口。至福の瞬間です。

季節ごとの茶会もまた、格別です。
真冬。熊本は九州の中でも寒い地域。番茶と一緒に肉桂の葉(シナモンリーフ)を煮出すと、体がぽかぽかしてくるのがわかります。
春、芽吹きの季節。日差しが明るくなって、暖かくなると、緑茶の心地よい渋み、さっぱりした味わいが心地よく感じられます。
盛夏。熊本の夏は厳しいので、お客さまには水出しのお茶を差し上げます。東方美人(とうほうびじん)を水出しで、鳳凰單欉(ほうおうたんそう)、薄荷烏龍(はっかウーロン)を氷出しでというように、冷茶三種の茶会も。ちなみに、冷茶は、冷蔵庫でよ~く冷やしたお水で淹れるのがコツ。低温であればあるほど、きれいな味と香りが出ます。
秋、気温が下がり始めると、不思議と茶色のお茶がおいしく感じるようになります。ある朝の茶会は、古樹木(こじゅもく)プーアール、雲南古樹紅茶野生(うんなんこじゅこうちゃやせい)、アッサムオーソドックス、ミルクティーの四種を。夕暮れ茶会では、プーアール束茶(たばちゃ)、花香(かこう)ほうじ茶水出し、木柵鉄観音(もくさくてっかんのん)の三種を。組合せも自在なんです。

お菓子とお茶は切り離せないものですが、主役はお茶。お茶をゆっくり楽しんだ後に、お菓子を一口食べると、もっとお茶がおいしくなるような組合せをします。ですから、甘さは抑えます。生の果物は、果物の酸味とお茶のタンニンがケンカをするので合わないんですね。お茶をよく知る友人、「marcadette」の渡辺薫子(かおる)さんにお願いして、季節を感じるお菓子を作ってもらっています。今日は、「湯園(たんえん)」です。肌寒いので、温かいものを。金木犀の花のシロップをお湯で割って、落花生の餡を包んだ白玉団子を浮かべて。花のオレンジと真っ白なお団子できれいなお菓子になりました。