一番好きなお茶

迷いますね。うん、やっぱりプーアール茶です。チャノキの原産地でもある雲南省。そこでできるお茶を俗称でプーアール茶と呼びます。プーアール茶は、なぜかわからないけれど、他のお茶にないおいしさがあるんです。森の中には、100年とか300年とか、中には1000年もの古樹が生えていて、春に一度、山岳少数民族の人が山菜を採りに行くように茶葉を摘みに行きます。そして手炒り、手揉みをして、ゴザに干す。こうしてできるお茶は何とも言えない渋みと旨みがある。他の植物が到達できないほど深いところまで根っこが達しているので、ミネラルがたっぷりなのだと思います。

派手なおいしさではないけれど、クセになる味わい。酵素が活きているんですね。花のような、落ち葉のような、草原のような、焚き火のような。香りは時間と共に変化していきます。最後には、お薬のような味わいになっていくのも好きです。
小さい茶杯で少しずつ違うお茶を味わうことで、お茶を知ることができます。自分が好きと思っていたお茶がおいしく感じられないことも。その日はなぜか苦みの利いたプーアール茶をおいしく感じたり、甘さを感じる紅茶が好きだったり。体調や気分でも、好みは変わるのが面白い。皆さん「今まで、何がおいしいのか、ちゃんと感じていなかった」とおっしゃいます。

「どのお茶がおいしいですか?」と聞かれることも多いのですが、「自分がそのとき飲みたいお茶」と答えています。毎日意識して味わっていくと、その体験が積み重なって、お茶をより深く理解できます。私の場合は、毎朝起きて、お湯を湧かし、必ずお茶を飲むのですが、何を飲みたいかで体調がわかってしまうんです。今日は元気だから、もっとやる気を出すお茶にしようとか。今日は白湯だけにしておこう、とか。

もっと言えば、気持ちが焦っていたり、部屋の中が片付いてなかったりすると、お茶の味が雑になってくるんです。お茶によって体調が整うこともあれば、淹れる人の心や体の状態でお茶が左右されることも。
不思議なのは、自分のために淹れるお茶よりも、誰かのために淹れるお茶のほうが何倍もおいしいことなんです。思わず主人の私がいちばんに「おいしい~」って言ってしまうこともあるんです(笑)。