熊本の水

熊本は「水の国」。よく「火の国」と言われますが、お水が本当においしいんです。和水(なごみ)町とか天水町とか、水にちなんだ美しい地名もあります。お茶をもっとおいしく淹れるためにも、私はよく水汲みに行きます。

南阿蘇村の「竹崎水源」。
和水町の「瀬戸の滝」。
産山村の「山吹水源」。

竹崎水源はとくに軟水で、なめらか。雨が山に浸み込み、30年くらいたって湧いてきた水。土壌が豊かであればあるほど、おいしくなる。まず水だけを味わうと、水が濃すぎて、お茶が淡く感じるくらい、阿蘇の水は特別です。

阿蘇カルデラの南外輪山に降った雨が地中深く染み込み、数十年の時を経て湧き出た「竹崎水源」。春先には岸辺にセリが芽を出し、清らかな旬の味を楽しむことができます

お誕生日に水汲みに行き、そのお水を飲むという習慣もあるようです。友人の誕生日に、早朝から「水汲み茶会」をしたことも。風がさわさわと樹木の葉を揺らし、水が流れる音、鳥のさえずり、木漏れ日……お茶の香りや味わいと共に、心に残るものです。

熊本に住んで24年。もう、人生ほぼ熊本、ですね。おいしい水源がたくさんあって、四季折々の美しさが。そして、大好きな有機の茶畑……。熊本には、昔ながらの煉瓦造りの炒り機や、木製の揉捻機を使って「釜炒り茶」を作っているお茶農家さんがあります。古い山茶も自生しています。他にも、宮崎の五ヶ瀬、大分の耶馬溪のお茶農家さんのお茶を飲む度に、もっとおいしく淹れて、たくさんの人に味わってもらいたいと思います。

そのために私ができることって何かしらと考えると、やっぱり茶会なんですね。