美しさとは

世界一の阿蘇カルデラ南部、清水峠道付近からの南阿蘇村と阿蘇山の風景

お茶のことを知れば知るほど、自然のつくる美しさに惹かれます。自分がどんなにきれいにしつらえをしても、自然の美しさにはかなわないな、と。外で茶会をするときに感じる風と木々の葉の音や影、茶畑のどこまでも続く緑の景色とか、なんて美しいのだろうと思います。

私が今日使った茶さじは、友人のおうちの庭に落ちていた小枝です。何の木か忘れてしまったのですが、葉っぱのかわいらしい木でした。これは、大分の海岸で拾ってきた、流木ならぬ流竹。細くて美しいので、これも茶さじとして使います。茶壺(ちゃふう)の蓋を置く「蓋置き」も、海で拾った石です。ですから、自然の豊かな所に行くと、よく下ばかり見て歩くんです(笑)。いいものが見つかると、それがいちばんのおみやげ。しつらえは自由。「美しい」と感じるものに、人の手で作られたもの、自然のものという隔てはなく、私の茶会では、同じ空間で仲良くしています。

「にほんの里100選」に選ばれた阿蘇カルデラ。火山と日本最大のススキの草原、そして豊かな自然にあふれています

お化粧は、私、ほとんど何もしないんです。お茶を飲むようになって、感覚が敏感になっているのかもしれませんが、口紅もほとんどつけません。先日、中国の高地で茶摘みをしてきたばかりなので、日焼けもしています。顔だけじゃありません、手も。茶摘みはするし、しょっちゅう水汲みに行くし、お湯でやけどもするし、ずいぶん手を酷使しているな~と思います。でも、それが今の大事な私の手。

手と言えば、忘れられない女性たちがいます。私が世界でいちばん好きなプーアール茶。愛尼(アイニ)族という山岳少数民族が作るお茶があるんですが、そこの市場で出会った女性の真っ黒で、シワが深く刻まれた手。一日もはずさないという銀の指輪や腕輪が光って、とっても美しくて、ずーっと眺めていられる手でした。私にとって「働く手」こそ、今いちばん美しいと感じるものかな、と思います。