ものづくりの原点

阿部好世というと、コットンパールと言われます。2009年にはじめて発表した展示会で、6連のネックレスを身につけたバイヤーさんたちから「わー、軽い!」と驚きの声があがったことは、今でも忘れられません。それからも「(つけても)疲れない」「女性を自由にしてくれた」「開放感がある」「ゴージャスなのにカジュアル」「旅行に連れて行きたい」…と、使ってくれるお客様からの言葉が励ましになりましたね。

今では、どこでも見られる素材になりましたが、「プティローブノアーのコットンパールがいちばんきれい」と聞くと、私のものづくりは間違っていなかったとうれしい気持ちになります。

コットンパールという素材に出合ったのは、偶然でした。「阿部さん、そんなに古いものが好きなら、これデッドストックだけど…」と言われて見せてもらったのが、50年間倉庫に眠っていたコットンパール。ひと目ぼれでした。聞けば、昔の日本でたくさん作られていたものだとわかり、使わせてもらったのがきっかけです。ふたたび日の目を見せたい。でも当時はもう作る人がいなくなってしまっている状況。再び生産していただけるように活動をはじめました。

それが、私のものづくりの原点。
苦労ですか? はたから見たら、あったかもしれませんが、その過程で知ったのは、私にとっては「ものづくりの過程そのもの」がたまらなく面白いということ。こんなにも自分の情熱を傾けられるものなのだとわかったのだと思います。過程を、ともに楽しめる人と、作り上げる――今でも、私の喜びです。

年に何回か、NYやパリに、コスチュームジュエリーを探しに行きます。美しい細工や光り輝くパーツを見て、私が思うのは「どうやってこの金具を止めたのだろう」「この光を出すカットはどんなふうにしたのだろう」という興味。美しさには、必ず理由があって、その理由を知りたい。どんな背景があって、どんな技術があって、どこの職人さんがどんな思いで…と、尽きない疑問に答えを出したくなる。今なら、どんな技術を使えば、この細工が可能なのだろうか。私たちが生きている「今という時代」をどうのせていけるのだろうか。これが、常に私のテーマなんです。