ミューズは一人ひとり

「女性をきれいに見せたい」、そう思ってデザインをしてきました。その象徴が、ブランド名でもある「petite robe noire(プティローブノアー)」、小さな黒いドレスです。アクセサリーが映えて、女性を最も美しく見せてくれる。一人ひとりの個性がより際立ってきます。

だから、プティローブノアーのミューズに理想のイメージはないんです。身につけてくださる方、一人ひとりがミューズ。たとえば(私の)母がつけるのなら、この形の方がいいかなとか、アメリカの友人だったら、この色が映えるかなとか、年齢も国籍も、肌の色もさまざま。デザインとは、まるで心の中でするギフトのようなものかもしれません。

黒人の友人に似合う赤を考えたとします。その赤をアジア人がつけたら似合わないかというと、そんなことはなくて、面白いのは、ある「幅」を保ちながら作ると、不思議と色に深みが出ることもわかってきました。はじめの頃は色を抑えていたんですが、最近は色を使いたい。色の取り込み方もどんどん高度になってきて、あえて制限をはずしていっています。

もっと自由に、もっと楽しんで、もっと遊んでほしい。アクセサリーって、そういうものだと思っています。2本の違うネックレスをつないで身につけている人。ネックレスをブレスレットのように手首に巻きつけている人。「ベビーカーにプティローブノアーのネックレスをつけたおしゃれな人を見かけた」と話してくれたお客様もいました。あ、そんな使い方があったんだ、と教えられることもたくさんあります。

男性でもプティローブノアーのアクセサリーを自分用として使ってくださる方がいます。ブローチをタイピンにしたり、スーツに合わせたり。おしゃれを楽しむ気持ちは同じ。メンズラインは作らないのですか?とよく聞かれます。男性だけに向けたメンズ仕様のアクセサリーは正直わからないので、自然な流れでユニセックスの存在だったらいいなと思います。

「こうでなければならない」というルールは、ことファッションにはありません。自分を表現する手段です。身につけてくれた人の1日が変わるような、アクセサリーにはそんな力があると思っています。