ARTと私とミサコちゃん

私は新潟の田舎で育ったので、キラキラした記憶は“自然”です。山の緑色の連なりや、その中で咲きかけた花の色はうっすら美しくて。野いちごの赤。空の青、夕暮れの雲の色が微妙に移りかわる様子。川の水面の光…心が揺さぶられる感覚は私の心の中にしっかりあります。

心がざわざわしたり、キューッとしたり、今でも心揺さぶることを常に求めています。なぜなら、私自身がワクワク、ドキドキしていなければ、お客様が身につけてワクワクするものなど作れないと思っているからです。生まれ育ったところからの恩恵が“自然”だとすると、成長した私の心の中で大事なものとしてあるのが、ART。とくに現代アート。絵画が好きです。

NYに住んでわかったのは、あの街は、環境そのものがARTだということ。ギャラリーはどこにでもあるし、「あれ見た?」「見た見た!」という会話がふつうに成り立つ。小さなギャラリーで個展をしていたアーティストが、あっという間に有名になったりするのもNY。日本の日常では誰もが交わす会話ではないですよね。

私がよく訪れるのが、東京・大塚にある現代美術のギャラリー「MISAKO & ROZEN」。オーナーディレクターのローゼン美沙子さんと夫のジェフリーさんは、長年の友人です。結婚1周年に、ジェフリーがミサコちゃんに贈ったアクセサリーがプティローブノアーのグリーンのブローチ。彼が言うには、「ミサコは、好きなものがはっきりしていて、これなら大丈夫と思った」からと(笑)。

2019.1.22
MISAKO & ROSEN Galleryでは、題府基之の「untitled (surround)」の作品が展示されていた。

ミサコちゃんは、現代ARTの世界では、「女将」とか「お母さん」とか呼ばれるくらい、国内外のアーティストの面倒を見ている人。結婚式までプロデュースして、仕切ってしまうほど。私の感性もわかってくれていて、「これは、絶対ヨシヨちゃんが大好きだと思うよ」と教えてくれる画集も、外したことがない。これって、とても幸せなことです。

「美しさって何だと思う?」と、ミサコちゃんに聞いたことがあります。ミサコちゃんは、「そりゃART! ARTって、一般的にはゴミと思えるものにも、美しさを見ることができること」と言ったのです。私には、よくわかります。つまり「心を動かされるもの」、それこそが美しさだと私も思っています。